大判例

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佐賀家庭裁判所 事件番号不詳 判決

本籍 福岡市東中洲町三八番地

住居 佐賀県東松浦郡厳木町字本山三八〇番地の三

料亭営業

野田節子 大正四年六月二十二日生

本籍竝住居 唐津市桜町八八四番地の二四

料亭営業

山下フサコ 明治四十年一月九日生

本籍竝住居 佐賀県東松浦郡有浦村大字新田一五五五番地の五

料亭営業

楠田トモエ 明治四十四年三月二十四日生

本籍竝住居 佐賀県佐賀郡北川副村大字木原六一六番地

料亭営業

上滝ハナ 明治二十七年七月三十一日生

本籍竝住居 佐賀市神野町一一二五番地

料亭営業

成富貞夫 明治四十二年三月十二日生

本籍竝住居 唐津市栄町二五七一番地ノ一六

料亭営業

杉山国雄 明治三十八年九月十八日生

主文

被告人野田を罰金一万五千円に、被告人山下を罰金五千円に被告人楠田を罰金二万円に、被告人上滝、同成富を罰金五千円に、被告人杉山を罰金一万五千円に各処する。

右罰金を完納することが出来ないときは金二百円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。

訴訟費用(証人西村ツル子に支給した分)は被告人山下の単独負担とする。

理由

(一)  被告人野田はその肩書住居に於て料亭鶴屋を経営しているものであるが昭和二十六年一月中頃満十八歳に満たない西○ツ○子(昭和十一年三月十四日生)に金一万円位を貸つけた上同女を接客婦として雇入れ、同女に寝具寝室等を提供して、同女をしてその頃より同年二月末頃迄の間約二十回に亘り氏名不詳の男と性交をなさしめ、以つて児童に淫行をさせ

(二)  被告人山下はその肩書住居に於て料亭明玉楼を経営しているものであるが同年二月末頃右ツ○子に金二万円位を貸つけた上同女を接客婦として雇入れ、同女に寝具寝室等を堤供して、同女をしてその頃より同年三月中頃迄の間約三回に亘り氏名不詳の男と性交をなさしめ、以つて児童に淫行をさせ

(三)  被告人楠田はその肩書住居に於て料亭茂平亭を経営しているものであるが、昭和二十七年三月中頃右ツ○子に金三万円位を貸つけた上同女を接客婦として雇入れ、同女に寝具寝室等を提供して、同女をしてその頃より同年五月中頃迄の間約三十回に亘り氏名不詳の男と性交をなさしめ、以つて児童に淫行をさせ

(四)  被告人上滝はその肩書住居に於て料亭明月支店を経営しているものであるが、同年六月中旬頃右ツ○子に金七万円位を貸つけた上同女を接客婦として雇入れ、同女に寝具寝室等を提供して同女をしてその頃より同年七月十四日頃迄の間約五回に亘り氏名不詳の男と性交をなさしめ、以つて児童に淫行させ

(五)  被告人成富はその肩書住居に於て料亭神野屋を経営しているものであるが、同年七月十五日頃右ツ○子に金八万五千円位を貸つけた上同女を接客婦として雇入れ、同女に寝具寝室等を提供して、同女をしてその頃より同年七月二十三日頃迄の間約四回に亘り氏名不詳の男と性交をなさしめ、以つて児童に淫行をさせ

(六)  被告人杉山はその肩書住居に於て料亭舞鶴を経営しているものであるが同年七月二十四日頃右ツ○子に金九万円位を貸つけた上、同女を接客婦として雇入れ、同女に寝具寝室等を提供して同女をしてその頃より同年七月末頃迄の間約三回に亘り氏名不詳の男と性交をなさしめ、以つて児童に淫行をさせたものである。

右事実は

一、被告人等の当公廷に於ける供述

一、副検事司法警察員各作成の被告人等に対する供述調書

一、司法警察員作成の西○ツ○子に対する各供述調書

一、副検事司法警察員各作成の西村セキに対する供述調書

一、司法警察員作成の岸川カドに対する供述調書

一、押収に係る姙婦名簿(押検第十二号)

更に

一、司法警察員作成の野田虎松に対する供述調書

一、副検事作成の浜本喜次郎に対する供述調書謄本

一、司法警察員作成の清水フジヨに対する各供述調書

一、副検事司法警察員各作成の上園清香に対する供述調書

一、副検事作成の古藤コシヅに対する供述調書謄本

一、司法警察員作成の飯盛セイに対する供述調書

一、副検事作成の堤竹一に対する供述調書謄本

更に判示(一)、(三)乃至(六)について

一、副検事作成の西○ツ○子に対する供述調書

更に判示(二)について

一、証人西○ツ○子の当公廷に於ける供述

一、証人青山ツルの当公廷に於ける供述

一、証人山下照美の当公廷に於ける供述

一、証人浜本喜次郎の当公廷に於ける供述

更に判示(五)、(六)について

一、押収に係る転出証明書(押検第七号)

更に判示(六)について

一、副検事作成の瀬口豊に対する供述調書謄本

を綜合して之を認める

法律に照すと被告人等の判示所為は児童福祉法第六十条第一項第三十四条第一項第六号に該当するから、所定刑中罰金刑を選択しその罰金額の範囲内で、被告人野田を罰金一万五千円に、被告人山下を罰金五千円に、被告人楠田を罰金二万円に、被告人上滝同成富を罰金五千円に、被告人杉山を罰金一万五千円に各処すべく、若し右罰金を完納することが出来ないときは刑法第十八条に従い金二百円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置すべく、訴訟費用について刑事訴訟法第百八十一条第一項に則り被告人山下をして之を負担せしむべきものとする。

尚被告人野田、同山下、同楠田同上滝は判示ツ○子が満十八才に満たない児童であることの認識がなかつた旨主張するが、同被告人等が判示ツ○子を雇入れるに際り同女の戸籍抄本等を調査し同女の年令を確認する措置を採らなかつたことは明らかであるから、同被告人等に於て同女の年令を知らなかつたとしても、之を知らざるにつき過失がなかつたと謂うことが出来ない、次に被告人成富、同杉山も判示ツ○子が満十八才に満たない児童であることの認識がなかつた旨主張する而して同被告人等に於て判示ツ○子を雇入れるに際り押検第七号の転出証明書をツ○子等より徴してその出生年月日欄、年令欄を調査し、同女の年令が満十八才以上であると信用したことは之を明認し得る、然し乍ら該転出証明書の出生年月日欄の「8」年令欄の「20」の文字が孰れも変造に係ることは相当の注意を以つて観察するとき直ちに観破し得る状況にあるから、同被告人等に於て判示ツ○子の年令を知らなかつたとしても之を知らざるにつき過失がなかつたとは之亦、謂うことは出来ない、以上の場合被告人等に於て児童福祉法第六十条第一項の処罰を免れることが出来ないことは同法条第三項に照して明らかである。

よつて主文の通り判決する。

(裁判官 富川盛介)

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